いにょ

永い言い訳のいにょのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.9
2017年116本目。

前情報無しで観たけどこれは良かった。身近な人を失うというテーマはあらゆる表現で表現され尽くされていて、その多くが美化されたドラマとして描かれるが、そこを装飾無く限りなくリアルに描く。

「死せる孔明生ける仲達を走らす」ではないが、残された人間の方が亡くなった人間に振り回されて翻弄される様は皮肉であるし、身近な人の死というものは残された人間の生き方の再発見の機会でもある。身近な人の死というのは案外こんなものなのかも知れない。

主人公が自分が優位に立っていたと思っていた妻から実は愛想を尽かされていたことを知って、その感情の行き場を誰にもぶつけることが出来ないシーンに集約される気がしている。本木雅弘の清濁併せ持った人間の描き方が凄い。あと竹原ピストルの演技も秀逸。子役の子達も。

原作は小説で、小説の作者が監督なんですね。こういうパターンの映画化は信用できる。
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