さちおくんは、灯ちゃんや真平くんの前だと見栄がなく、素直で、素敵な人になれるのに、衣笠幸夫に戻ると途端に弱い人でした。かと言って、子供の世話をしている事が逃げだという事も本人は薄々自覚していて。昔の彼は特にそういう逃げを批難するタイプでしょう。だからお酒にも呑まれ、仕事仲間に見透かされる。酔っているシーンは特に苦手でした。
それに対して、真平くんのお父さんは素敵な方でした。ひたすらに真っ直ぐ。でも料理はしない、グズグ寝てる、その上心境を察せずずかずかと助言してくる父がいたら、自分の父親であることに拒絶感を感じるのだと思います。特に今の真平くんはお父さんのマイナスの部分しか見えない生活や価値観の中。不満は大きかっただろうなぁと。だからこそお父さんの本当の素敵な部分を見つけて弱い所は深い心で、受け止め結婚したお母さんは、とても素敵な方だったんだろうなと思います。だから真平くんには、あなたのお父さんとお母さんは最高に素敵なご両親なんだよ、と伝えたくなります。...と気がつくと子供の事ばかり考えてしまいます。きっと幸夫くんもそうなんだと思います。頭で考えるより先に、言葉が出てくる、行動してる。そうやって、忘れた何かを取り戻していく主人公の姿がとても綺麗に描かれていました。終わり方も素敵でした。永い良い訳、どういう映画なんだろう？と思いつつも、中々観ずにいた映画でした。もっと早く観ればよかった。とてもお勧めの映画です。
