りょうた

永い言い訳のりょうたのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.0
衣笠幸夫は津村哲という名で小説家をしている。そのキッカケを作ってくれたのが、妻であったが、現在の二人の関係は冷めてしまっている。妻は親友の大宮ユキとスキー旅行に行き、その間、幸夫は愛人と会っていた。そんな時に、雪山の事故で妻がなくなったと連絡が入る。妻が亡くなっても泣けない幸夫。同じ事故の被害者、大宮の家族と関わる中で、幸夫は少しずつ亡くなった妻と向き合ってゆく。

ジャン=マルク・ヴァレの『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う。』に似ていると言われ、観てみたが、たしかに似ていた。同じように妻を失うが悲しむそぶりを見せないデイヴィスはカレンと彼女の息子に会うことで向き合うべきことから目をそらしていた。まさに、幸夫と大宮家の関係に似ている。

デイヴィスは解体した機械を修理することで、幸夫は伸び切った髪の毛を散髪することによって、過去の自分と別れ、新たなスタートを切った。

幸夫とデイヴィスの違いがあるとすれば、デイヴィスは破壊衝動として外側に出そうとするものの、幸夫はわりと内側に溜め込む。日本人とアメリカ人の違いなのかもしれない。
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