tm

永い言い訳のtmのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.8
深津絵里さんの透明感が大好きなのですが、一瞬でいなくなってしまった!!!このくらい前情報なしで観始めました。

この映画の主人公の幸夫は、どうしようもないクズ男です。妻が死ぬ時には愛人を招いて寝ていて、妻がどこに誰と行っているかも知らないし関心もありません。妻が死んでも涙1つ出ず、自分がどう思われているかということしか考えていません。

そんな時であった陽一はすごく素直に妻を愛していて、その悲しさを恥ずかしがる様子もなく泣きます。なんども泣きます。

この映画、本当に幸夫がどうしようもない奴にしか見えません。子育てだって免罪符だし、何より自分の最低な行動に反省している様子はない。(自己嫌悪はしているかもしれませんが)だから、特に女性は幸夫のことを最後まで好意的に捉えることは難しいと思います。
対して、陽一のまっすぐさは真逆です。本当に素敵な旦那さんです。竹原ピストルさんの演技が素晴らしい。

1つだけ幸夫を擁護するとしたら、幸夫はまだ妻を亡くした現実を受け入れられず、そんな自分に辟易しているということです。きっと、陽一の真っ直ぐさに感銘を受けていたのは、幸夫だったのだと思います。

それにしても子役がすごい!お兄ちゃんの心情すごく難しいはずなのに、リアルな雰囲気で良かったです。というか、この映画あんまりアップダウンがないので、まるでドキュメンタリーを見ているかのようなんです。

わたしは女なのですが、女性目線から、人の心情が上手に描かれているなぁと思います。何でも話してしまう親友、冷めきっていても愛している夫、未送信のメール。うーん、分かる。とても繊細な映画です。
tm

tm