ララン

美術館を手玉にとった男のラランのレビュー・感想・評価

美術館を手玉にとった男(2014年製作の映画)
3.6
「アートは問題提起、デザインは問題解決。」
——ジョン・マエダ

美術品は、専門家と言われる人達が"これは本物だ"といえば本物になる世界。
そして、それをありがたがって鑑賞して、ありがたがって売買する世界。

"有名な芸術家だから良い作品、価値のある作品。"
彼等の目に映るのは作品そのものより、その背後の数字や肩書なのだ。
そんな美術界を私達を皮肉っている様に感じた。

贋作作家マーク・ランディス氏のドキュメンタリー。
彼はまさにアーティストだと思う。
名だたる有名美術館に自身の贋作を寄贈し、専門家達の目を欺いたと話題になった人物。
贋作個展まで開催されるからすごい。

彼は孤独を埋めるために、贋作を通して社会と繋がろうとしてるのではないかと見えた。
また彼が口にする世間への皮肉からは、贋作活動は彼からの社会そして富めるものへの復讐に感じた。
とはいえ、どんなことであれ一つのことに取り組み、抜きん出た技術を身に付けるのはすごい。
贋作製作風景や手法、贋作を寄贈するにあたり欺く手口についても語られていて楽しめた。


*好きなセリフ*

「好きなミュージカルは『努力しないで出世する方法』。"倫理的行動は常に成果を生む"というセリフがある。でもそれはジョークで逆に成果を生まない。」

「父は紳士だった。だから出世しなかった」

「良い神父になりたければケネスモアの『ブラウン神父』を観るといいね。教会なんてああいうものさ。」
ララン

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