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ディストラクション・ベイビーズのf0ckyouのレビュー・感想・評価

3.5
柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎といった今の日本映画界を牽引する(と言われている)若手俳優らが物語を形づくる。このメイン4人のほか、池松壮亮、岡山天音、吉村界人、北村匠海といった若手実力派(と言われている)方々も出演。でんでん、三浦誠己(この2人が出ている映画は良い)などのベテラン勢がその物語を支えバランスを保たせている、という印象

ただただ柳楽優弥演じる泰良が人を殴りまくり、その行動に影響され、方やその行動が引き起こすことに翻弄される人々を描くストーリー(こんな感じだろうか?)

映像も暗くくすんでいて、明らかに低予算だなと分かる。が、役者の演技がそれをカバーしている(ただ菅田将暉の演技はやや一色単。小松菜奈は方言をもう少しなんとかできなかったのかなと感じた。にじろー君は。。。特になし)。特に柳楽優弥はセリフもほとんどなく、ただただ衝動に身をまかせ人を殴り続ける。獣を見ているようだった

柳楽優弥演じる泰良は人を殴り、その殴った自分の血だらけの拳を見つめてはニヤリと笑う。人を殺してしまった少女に「どうやった?」と興味津々に感想を尋ねる。彼の過去にどのようなことがあったのかは描かれてはいない。彼が何のためにそんなことをやっているのかも描かれていない。わからないことの方が多いのだが、全く分からないのかと訊かれればそうではない。自分の中にある1% の感情を掘り起こされた気分になった。むしろ殴り合うことによって生まれる快感をめいっぱいに感じている泰良に憧れの感情すら覚えた。その他にもそれぞれの登場人物に共感する部分は少しずつあった(例えば菅田将暉演じる北原の「大きなことを成し遂げたい」「周りの人を見返してやりたい」という野望)
それにプラスして、(まるで「バードマン」の音楽のような)即興的な劇中の曲が観客の心をかき乱す
ラストも決してキレイな終わり方ではない。あの後登場人物たちがたどる行く末も観客の想像に委ねられている
嫌いな映画ではないが、好きな映画かと訊かれれば答えづらい。こんな複雑な気分ははじめて「青い春」を観た時に似ていた
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