クマヒロ

ディストラクション・ベイビーズのクマヒロのレビュー・感想・評価

4.1
ものすごく不快な映画。
でも見入ってしまうし、色々と突きつけられた。

なんといっても柳楽優弥さんが最高。
佇まいから服の着こなし、表情まで、全てがヤバいやつ。
でもあまりに楽しそうに暴力を振るうため、感情移入をしてしまうし、もっとやれもっとやれと心のどこかで爽快感を覚えてしまった。
理由なき暴力にここまで気持ちを動かされるとは…

菅田将暉さんも素晴らしかった。
まさに虎の威を借る狐。
どちらかというと少し自分と重ねてしまうようなキャラクター。
序盤から仲間の暴力には立ち入れず、かつ主人公に魅力を感じてしまうところがまさに自分だった。

暴力描写の音、喧嘩の仕方、セリフに至るまでリアル。より不快感を増していた。

不快感を増し増しにしていたのが構成。
一番自分を投影していた菅田将暉さん演じるキャラクターが女性に暴力を振るい始めるところ。
散々傍観した挙句に、自分まで肩入れしてしまったようで、しかもあまりにひどい仕打ちをするため、かなり感情を突き動かされた。

小松菜奈さんを含めた3人の逃避行の中での小松菜奈さんもかなり魅力的だし、面白かった。

ラスト付近で村上虹郎さん演じる主人公の弟も暴力性が目覚めるかのようなシーンも秀逸。

音楽や、タイトルの出方に至るまで暴力的で、心の奥底を突かれたような映画だった。
クマヒロ

クマヒロ