渡邉ホマレ

バーニング・オーシャンの渡邉ホマレのレビュー・感想・評価

バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)
3.7

「史上最悪の人災」と呼ばれる米国石油採掘施設の爆発事故と、それに至る顛末を描いた本作。
『ローン・サバイバー』以来、「実録モノの雄」となったピーター・バーグ監督と、同作よりタッグを組むようになったマーク・ウォールバーグ。この「Wバーグ」コンビの作品には、独特の法則があるように思います。

まず、事件に巻き込まれた人々の、事件に巻き込まれる直前までの日常をしっかり描く事。
彼らがいかに善き者であるか、またはあったのか、を丁寧に描写することで、バックボーンの刷り込みを行うのは定石ですが、Wバーグ作品では一般の作品の倍以上の時間を費やしでじっくりコトコト煮込む感じです。この時間が退屈だと感じる人は多いかもしれませんね。

フィクションのパニック映画であれば、とっとと事故は発生するでしょうし、もっと様々なアトラクション的「展開」が起こるはず。しかし本作はあくまでも、徹底した取材や交渉に基づいた作品であり、逆に実話ベースであるからこそ、「え、本当にこんな杜撰な事があったの?」「あんな英雄的な人がいたの?」「マジであんな高さから火の海にダイブしたの⁉︎」といった驚きを体験できるのも事実。こういう作風を持つ監督はかなり稀なのではと思いますし、こういう映画を観ることで実際の事故や事件に対し興味を持ってみる、調べてみる…となれば、映画体験としてはかなり有意義かと思います。

「Wバーグ」作品が公開されたら、エンタメとノンフィクションの間と言いますか、奇跡体験アン…的なアレだとかの豪華で詳細なバージョンとして観ていただくのが吉かと思われます。