現在、二つに別れてしまった山口組の方々に見て頂きたい映画。「高倉健の飯」といえば『幸福の黄色いハンカチ』の出所後の食堂シーンの評価が高いが、今作の序盤の「泣きながら白飯とタクアンを掻き込む」シーンの方が俺は好きだ。そしてそこに寄り添う田中邦衛がこれまた良い。正に「一宿一飯の恩義」の模範解答例。「バクチでオケラになった高倉健、菅原文太、山本麟一たちが一本のタバコを回し吸いする」シーンはジョニー・トーっぽい。「丹波哲郎（山口組二代目）へのマッサージの力加減が強過ぎて...」シーンはアホらし過ぎ。目突きの練習や福原遊郭での筆おろしすら真剣に取り組む真面目すぎる高倉健。そんな明るさすら漂うヤクザ立志伝の中、ひとり負のオーラを出しまくる遠藤辰雄が最高。イイ場面は多々あるが、物語自体は「さぁ、これから」という所で終わるのでやや肩透かし。
