あでゆ

レディ・プレイヤー1のあでゆのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
2.9
2045年、人類は思い浮かんだ夢が実現するVRワールド「オアシス」で生活していた。ある日、オアシスの創設者の遺言が発表される。その内容は、オアシスの三つの謎を解いた者に全財産の56兆円とこの世界を与えるというものだった。これを受けて、全世界を巻き込む争奪戦が起こる。

映像は流石によかったんでそれなりに楽しんでたんだけど、ラストの「今日のお前が言うな」セリフで完全に萎えてしまった。
それにシナリオ自体も結構退屈で、年寄りが100万回繰り返したしょーもない説教みたいな話なのも本当にくだらなかった。
だってVR世界で散々宝探させて、遊ばせといて、最終的にその開発者が発見者にいう言葉が、「大事なのはリアルだからゲームばっかやらずに外に出て遊びなさい」てあんた。だったらそもそも、そんな世界で宝探しに熱中させること自体が矛盾してるわけでさっさとサービス閉じろよという話なのです。前提が破綻している。

この映画を撮った監督が誰かは知らないが、昔スピルバーグが撮った『未知との遭遇』という映画は本作と真逆の構造をとっている。なぜなら宇宙人を追い求めた主人公がラストで行う選択は、宇宙人について行くことだからだ。最後まで夢を追い続ける、現実なんて二の次という話だった。
ところが本作は、VRサイコー!って映画だと思ってたら、その実、俺の作った映画最高だろ??って映画なんだよな。本当に『未知との遭遇』を見て勉強し直して欲しい。まあぶっちゃけ、その後に撮られた『ET』と同じ話なので、スピルバーグはむしろ立場的にはリアル大事派なんだろう。映画全体からオタクがバカにされてる感じしかしなかったんだよな。

シナリオを突っ込みだすとキリがないのだが、例えばラストであの世界に警察がいたことがわかるっていうのもどうかと思う。散々っぱら好き放題しておいて、最後に警察来て悪役お縄っててご都合主義にもほどがあるだろう。元々警察が腐敗してたとかそういう描写があるならともかく、アレだけ観ていたらあの会社が司法を担っていると思わざるを得ないし、今までは一体何してたんだ。
それに各キャラクターの動機がよくわからない。主人公二人はなんとなく描かれてるとは言え、女の方のレジスタンスっていう奴らも一体何なんだという感じだし、なんで彼女がリーダー格なんだろう。他のキャラに関しても背景がわからなさすぎるし。

とはいえ、映像や音は素晴らしい。特に、第一の試練は映像以上に音の効果が素晴らしかった。なにしろアレだけハイセンスなレースのシーンで、BGMが一切なく、セリフも必要以上に殆どないっていうのが最高なんだよな。ああいう洗練された美的感覚みたいなものは今時珍しい。
あとあんまりこのシーンにこれが出てくるみたいな二次創作遊びは喜べないんですけど、第二の試練の内容には流石にアガりました。なにしろ物語的に意味のあるオマージュだったし、再現度が完璧すぎましたね『シャイニング』。

まあガンダムが出てきてそれでオッケーというお祭り映画として観るなら別にそれはそれでいいと思うが、二次創作に興味が無いもので、全体的にその辺は楽しめなかった。戦いのシーンに春麗だのガンダムが混じってようがどうでもいいんだよな...

事前にVRへのイマジネーションが凄いみたいな意見たくさんみた気がするが、どちらかといえばボンクラSFの類だと思う。VRやりながら実際に身体動いてるのとかまさにボンクラで、ランニングマシンみたいなのない状態だと移動どうしてんだと思うけど、その辺はご愛嬌。
とはいえ、あのボンクラ感は個人的にはとても好みだった。VRゲームってやってるやつ観てるのが面白いっていう楽しみ方もあるし。
だけど、SF的なセンスオブワンダーは特に感じなかった。
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