なやら

エレナ出口のなやらのレビュー・感想・評価

エレナ出口(2012年製作の映画)
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面白かった! 介護士の主人公エレナを筆頭に、エレナが住み込みで働く一家を含めた登場人物たちが皆どこか不安定さ、というか狂人的なオーラ(ちょっとジョンウォーターズっぽいかも)を帯びていて、次の瞬間何か忌まわしい事をしでかしてしまうんじゃないか、何か予想も出来ない不幸を呼び込むんじゃないか、というような不気味ムードが漂い続けている(最後まで別に何も起こんないんだけど!)。
冒頭のシーンでその覚束ない所作が印象づけられているので、エレナがおばあさんに着けた介助用のベルトが今にも解けるのではないかと不安だし、住み込み先の過干渉ババアとエレナの目に見えぬ対立が急に爆発しそうでハラハラするし、一見マトモそうなオヤジも性的に変態っぽくて気味が悪いんだよな。何事も起こらずカットが終わり、切り替わる度ひと安心という感じ。イチイチ怖いんですよ。
途中で帰省してくる息子はちょっとやり過ぎな気がしたな。フツーに精神病患者で、まさに「いつ何を仕出かすか分からない」の権現のような人物なんで、どうしても不穏な空気の出所がコイツに偏る。だから相対的に周囲がマトモに見えて、これまでの得体の知れない恐怖感がトーンダウンしちゃってる。
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