Eita

マネーモンスターのEitaのレビュー・感想・評価

マネーモンスター(2016年製作の映画)
4.2
だいぶ前から観るのを楽しみにしていた作品で、公開前からサントラまで買って毎日聴いてワクワクしてた。
結論から言うと、確かに面白かったけど期待していたほどではなかった。まず、一番の盛り上がりをどこに持ってきたかったのかがよくわからなかった。ジャンルはサスペンスなので、常に緊張感はあるのだけど、その緊張感の絶頂をイマイチ感じられなかった。それと捻りがもう少し欲しかった。ただ、これらをまとめて逆に言えば、アッサリとした面白さがあるということでもあるかもしれない。
昨日に引き続いてジョージクルーニーが出演していたけど、彼は情けない役、プレイボーイ役は必ずはまる。今回も例外じゃない。ジュリアロバーツは実際に番組の制作現場にいそうなサバサバした敏腕プロデューサーを好演。スタイリッシュな音楽が場面場面に非常に合っていて良かった。
今回僕が一番気に入ったのは知的で皮肉を効かせた内容。さすが、ジョディフォスターといったところか。資本主義社会とアルゴリズムの欠点なんかにも少し言及している。でも話の本筋は実はそこじゃない。最後の方で重要な人物が、株式会社制度について語るけど、彼の語ることも真実の一面であると思う。それと、この作品はところどころで視聴者が出てくるけど、一連の出来事が終わった後の彼らの反応(彼らのうちの一部)、中盤でも視聴者の意を問う場面での彼らの反応、そしてSNSでの反応(インターネットミーム)あれは現代社会の皮肉だろう。結構な観客がインターネットミームに笑っていた。確かに面白い、けど僕は純粋には笑えなかった。なぜなら、作中でもマネーモンスターの視聴者反応を拾っていたわけだけど、それがまんま僕たち観客にも当てはまるから。つまり、あの場で僕たち観客がこの問題を問われていたんじゃないか、"マネーモンスター"という映画を通して。もちろん、フィクションではあるのだけど、現実にも似たようなことが起こっていたりする/起こり得るので、なんとも複雑な気分。この部分は、トゥルーマンショーを思い出した。
なんだか、内容がものすごく重いかのように書いてしまったけど、そんなことはなくて、普通に娯楽作品としても楽しめるので気になる方は是非。
Eita

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