MasaichiYaguchi

ザ・ギフトのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
3.6
これから年末に向けてお歳暮やクリスマスギフトを送ったり、手渡ししたり、逆に頂いたりする機会が増えてくる。
ギフトには日頃の感謝や、これからも宜しくという気持ちが込められているものだが、本作に登場するギフトには別の意味があって、主人公達にそれらが届けられていく毎に背筋が寒くなっていく。
主人公夫妻が夫・サイモンの故郷に転居して遭遇したある男。
サイモンの高校時代の同級生だという男・ゴードとの出会いが、幸せそうな夫婦生活の歯車を狂わしていく。
親切ではあるが、事ある毎に夫妻に関わろうとするゴードの意図は何か、そして“お祝い”、“お礼”の名目で届けられるギフトにはどのような“裏”があるのか。
ゴードの不審な行動がエスカレートするにつれ、サイモンとの過去の関係や経緯が炙り出されていき、映画前半の印象とは違うサイモンの別の顔が見えてくる。
終盤の方で出てくる「きみが“過去”を忘れても、“過去”はきみを忘れない」という印象的な台詞が表しているように、本作は過去の因縁を巡る物語。
大ヒットホラー「パラノーマル・アクティビティ」や「インシディアス」シリーズのプロデューサー、ジェイソン・ブラムが製作し、「華麗なるギャツビー」、「ブラック・スキャンダル」のジョエル・エドガートンが脚本を書き、製作に加わり、出演もした初の長編監督作品は、悪霊やモンスターも登場せず、スプラッター映画のような過激で生々しい描写も出てこないが、描かれた手痛い因果応報のドラマには終始ひりつくような恐怖がある。