黒田隆憲

ザ・ギフトの黒田隆憲のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

以前から気になっていたジョエル・エドガードン監督・脚本・出演作、彼の最新作『ある少年の告白』を昨日観て俄然興味が湧いたので鑑賞。いやあ、ぶったまげました。途中、リアルで「うわああ!!」と叫んでしまったよ。

美しい妻ロビン(レベッカ・ホール)と出世を約束された仕事、大きな窓がいくつもある素晴らしい新居と、何一つ不自由のない生活を送る男サイモン(ジェイソン・ベイトマン)が、街で偶然再会した同級生ゴードン(ジョエル)に人生を狂わされていく話。

前半はロビンの目線で描かれ、親切な彼女の好意につけ込むようにズケズケと一家に入り込んでいくゴードンがとにかく不気味で、お人好し過ぎるロビンに思わずサイモンと一緒になって、「あんな男、家に入れちゃダメだろ!」と思ってこちらも観ているのだが、実はゴードンは高校時代、サイモンの心ない「嘘」によって退学に追い込まれ、その後の人生をメチャメチャにされていたことが分かる。

野心家のサイモンは、会社でもライバルの社員を虚偽メールで陥れるなど最低のクソ野郎で(そういう奴じゃないと成功しないんでしょうか……?)、そういえばゴードンに対する冷淡な態度や、ロビンへの高圧的な態度など最初からどうも気になってはいたのだが、本性が全て明らかになるとこちらの視点が一気にひっくり返ってしまう。この辺りの仕掛けが本当に巧みで、それまでゴードンを「不気味なやつ」と思っていたこちらにも罪悪感を植え付けるのである。

最終的にゴードンはサイモンへの復讐を果たすのだが、カットバックを駆使したそのシーンの緊張感は凄まじい(ちょっと『セヴン』を思い出しました)。ロビンが気絶している間、家に忍び込んだゴードンは彼女に何をしたのか、産まれてきた子供は本当にサイモンの子なのか。不敵な笑みを浮かべながら、「“やった”かもしれないし、“やって”ないかもしれない」と電話でサイモンに告げるゴードン。今後一生サイモンは、子供の顔を見るたびに苦しみ続けることになるだろう。サイモンの嘘で人生をメチャメチャにされたゴードンにとっては完璧な復讐だ。

伏線の敷き方も、その回収の仕方も見事。唸りました。あと、犬が死ななくてよかったよお〜(そればっかり言ってる)。
黒田隆憲

黒田隆憲