狼狽

ベイビー・ドライバーの狼狽のレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
5.0
最高だった。ゴリゴリにマッチョで、脳味噌まで筋肉なワイルドスピードという権威を、音楽と映像を組み合わせた圧倒的なセンスとスタイリッシュさでもって、華麗に駆逐するという奇跡を見た。
エドガーライト監督って、過去の作品を観た限りでは、こんなに真面目にかっこいい映画を作る監督じゃなかったはず。
ショーンオブザデッドもホットファズもスコットピルグリムもおちゃらけたような映画だったじゃないか。いい意味で裏切られた。
まさか本気でかっこいい映画を作ったらここまで最高なものになるなんて。一生ついていくぜ。
全体的に作風が変わったベイビードライバーだが、今までのパブリックイメージであるエドガー感もなくはない。それが一番垣間見えたのは、二つ目の銀行襲撃な気がする。
ハロウィンのマイケルマイヤーズのマスクを、オースティンパワーズのマイクマイヤーズのマスクと間違えて用意し、そのままオースティンパワーズのマスクを被って、襲撃するシーンだ。
あの絵は間抜けでじわじわきた。思ってたエドガーってこれだ。
それから、一度ベイビーがゲッタウェイドライバーから足を洗い、ピザ屋で配達を始めた時には、ルーベンフライシャー監督のピザボーイを連想せずにいられなかった。ルーベンとエドガーは年齢も同じ、良きライバルだと思っている。エドガーがとんでもない傑作を作ったが、ルーベンも負けないで欲しい。次回作が楽しみ。次回作は2018年公開予定のVenom(原題)で主演はトムハーディ。
おっと、内容が逸れた。車線変更して本線に戻らなければ。
このベイビードライバーは車と音楽が熱い映画だが、思いがけず素晴らしいのはベイビーとジョーのやりとりだ。手話でのやりとりで、二人が心を通わせる様子に優しい気持ちになった。
そうだ、ベイビーがかっこいい天才ドライバーなだけでなく、とびきり優しい青年なのが、この映画の本当の肝だ。ベイビーなんてニックネームだけど、その振る舞いはジェントルマンだ。
そういうところが本当に憎いぜ。
天才ドライバーなのに、車なしで走って逃げさせる展開にもしびれるくらい興奮した。うますぎる。
今年ベストと言っていいだろう。

あとは、ガーディアンズオブギャラクシーやエヴリバディウォンツサム!のようにカセットテープでのサントラがあれば最高。
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