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アイリッシュマンのtkのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.0
アルパチーノはなんで歳を重ねる毎にかっこよさが増していくんだ?
狂気を秘めつつその上に覚悟と経験が覆い被さって、滲み出る色気になってる、みたいな。
ロバートデニーロも、タクシードライバーの時の危うさが全面に出てた姿とはまるで別人。歩んできた人生の厚みが雰囲気から伝わる。

部屋に入って誰も居ない、銃殺。和やかに話してて急に絞殺。お決まりの死に方だからこその変な安心感と、「まじか殺された」っていう心のザワザワがいい塩梅でテンポよく繰り返される。常に心が少し波立ってるような感じ。
このテンポ感と、ある程度お決まりの死までの流れに、北野武映画と似たものを感じる。北野武映画がスコセッシ映画からインスピレーション受けてるのかな?

登場人物が多くて関係の理解に頭を回転させる、かと思えば人が殺されて心がキュッとする、一方でかっこいい俳優陣に魅入る、そしてストーリーに没入して思いにふける。
3時間この繰り返し。全く飽きがこなかった。

ラッセルの圧倒的な計算高さと傲慢さ、
デニーロの慎重さと後出しジャンケン的な受け身の姿勢と暴力性。
二人に底知れない闇を感じて距離を置く娘。

純度高く自分の人生を生きようとしてて、だからこそ?憎めない雰囲気が出てるジミー。
直感でそれを感じ取って心を許す娘。

キャラのコントラストが娘を通じてよく伝わってきたし、
それをうまく感じさせる配役は凄いと思った。

面白かった!
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