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アイリッシュマンのクリスのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.5
裏社会の話であるということで、マーティン・スコセッシを知る人は「グッドフェローズ」や「カジノ」を想起する人が多いと思うが、本作はそのテンポの良さやたまにある長回し撮影など踏襲する部分はあったものの、全く別の映画となっている。
正直前半は、ジミー・ホッファに関すること以外はよく見るギャング映画という感じで個人的には魅力をあまり感じなかったけど、後半になるにつれて、登場人物は老いを見せ始めることで物語に深みを与えていく。
アル・パチーノの怒号、ジョー・ペシの威厳、ロバート・デ・ニーロの哀愁などなど、名だたる俳優たちはこの映画でも演技で魅せてくれる。
ラストを観終えることで3時間半という長い上映時間も、1人の男の半生を追うという意味では必要なものだったと感じさせられる。
情報量が多い映画ではあるので、何回か観ることで理解できるといった内容があるということが何場面かある気がする。
大物俳優たちのギャラや制作費用を回収できないと、難色を示していた配給会社に対してNetflixが出資したからこそできたこの名作は、マーティン・スコセッシの近年の代表作といえるものになっている。

ーー以下ネタバレーー
個人的ベストは、アル・パチーノ扮するジミー・ホッファが裁判中に襲撃を受けるシーンの構図が素晴らしかったのと、
ジョー・ペシ扮するラッセル・ブファリーノの刑務所に入ったあとの食事のシーンでのジョー・ペシの老いを表現する演技。もはや演技なのかすらわからないような年齢かもだけど泣
ラストのドアのくだりもフランクが、最後閉塞感のあるスペースに1人残されることで晩年の孤独を表す秀逸なものだった。
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