yuki映画海外ドラマ

ノクターナル・アニマルズのyuki映画海外ドラマのネタバレレビュー・内容・結末

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて鑑賞。
アートの仕事で成功したスーザンの所に、元夫(作家)から小説が送られてくる。
現実の世界と小説の内容が交錯していく構成。
現実が虚構のようで、フィクション(小説)の方がリアルで生々しいところが面白い。

スーザンを取り巻く現代アートや豪邸、完璧なヘアメイクにファッションがあまりにもスタイリッシュ過ぎて作り物のよう。
夫やアート関係者までもが非現実的で嘘くさく見える。
スマホ壊されて平気な顔ってあり得ないでしょ。

現代アートをどこか皮肉ったような描写はトムフォードだから説得力が増すんだろうなあ。

スーザンと夫は絵に描いたようなセレブな美男美女カップルだけど、夫の浮気に感づいているくせに見て見ぬ振りで、破産寸前の経済状況だったり見せかけだけの幸せ。

対して、小説はあまりにも生々しく残酷で、登場人物の行動も人間味にあふれている。
小説は車でのトラブルから悲惨な事件に発展していく。
車で追いかけられるだけでも怖いのに母娘が拉致されるところはほんとはきつかった。展開もじわじわ追い詰める感じでねちこいんだよね。

見せかけの成功と幸せに嫌気がさしていたであろうスーザンは元の夫の小説に夢中になり、元夫との再会に期待を膨らませる。
映画では元夫の登場は回想シーンのみで、現在の様子は一切出てこない(手紙とメールのみ)
ラストの意味は観客の想像にゆだねられることになる。

ここからは全くの想像。
元夫は自分の才能を認めず手ひどく自分を捨てたスーザンへの未練と復讐の思いが入り交じった状態で小説を書いたのだと思う。
夫婦時代にスーザンに言われて傷ついた言葉を小説でも巧みに取り入れてたし。かなり悲惨な結末を迎える話だったけど。

小説をを書き終えたことで達成感を得て、その後スーザンからの絶賛メールが届いて完全に吹っ切れたのでは。

それにしてもあんな別れ方をしたのに、再開の場所に嫌味なくらいスタイリッシュな超高級レストランを指定してきたのは虚栄心の強いスーザンらしい。