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ノクターナル・アニマルズのsariiiのネタバレレビュー・内容・結末

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

現代アートの本物の作品が登場すると聞いて期待。実際には15作品ほど登場しているらしい(ジョン・カリン、ウォーホル、クーンズなど)。画面で語るとき、作品を引用することでそのシーンにもっとたくさんの意味や意図が示唆できると読んで納得(Viceの記事に詳細あり)。DVDが出るまでに、作品をちゃんと調べてからまた観るのもありだと思った。
(クーンズのバルーンの作品にチェーンが揺れて当たってるシーンは、傷がついちゃうと勝手にヒヤヒヤ)

アーロン演じる主犯役が胸くそ悪いほどハマってた...外の便器でう@こしてる姿はあまりにナチュラルだった
道路で揉めたシーンで、見下された態度を取られたときだけキレるのも、最後に白状したときも、人を殺すに許されない動機だけど、はっきりと「見下されることにもう耐えられない」理屈はある気がした。

ただ、エイミー演じる主人公は、ここから大きく生まれ変わる可能性は感じなかった。ある意味、もう遅いことを知って終わるエンディングかと。反省して生まれ変わる、万人受けするオチではなく、救いを求めて観る映画じゃない。自分に「間違った選択はしてない」とごまかし続けた結果、それはどこまでも自分を追い続けてくるものなのだ、と私は受け取った。それは社会的な、経済的な成功ではごまかせない、意志やメンタリティーにおいて自分に素直に生きているかという問いにちゃんと向き合ってきたか。そのことから一生逃げ続ける、そういうことって、実際にあると思う。
他人事のようにしか見れない、観者を置いてけぼりにしがちな「生まれ変わるヒーロー物語」とは違うリアリティーを感じさせてくれた。

内容は重いしざわざわする描写も多いけれど、観終わってからじわじわくるのでまたそのうち加筆したい。

トム・フォード監督作品が好きだ。
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