ハイセンスでナイーブなブルジョアの世界を見せられ、「どうでもいいわ」という気持ちが爆発した。
とにかく衣装やレイアウトセンスが良く、さすがトム・フォードと感心しながら観ていたのだけど、オチも含めて非常にドメスティックで小っちゃな男女世界の話に収束したのに驚きを隠せない。
過去に拘る女、復讐の仕方が陰湿な男も撮り方によっては鑑賞後にいい余韻を残すことは多々あるのだけど、この作品に至ってはとてつもなく落胆した。
男のねちっこい私怨を綺麗な画で2時間も見せられるってこんなにも地獄なのか。
ボロクソに言ってしまったけど、物語を構成する三世界(現在・過去・小説世界)を色彩や視覚美術で混同させずに自然に見せる表現は非常に巧みだと感じた。