感服。
トムフォード監督二作目にして、もはや巨匠の域で、見終わった後思わず「凄い…」と声が出た…
処女作でもそぎ落とされたシンプルな構成と台詞に本業のデザイナーセンスが遺憾無く表現された美的センスに流石！と目を奪われ、ファッションだけに留まらない才能に驚かされたが、いやこれは今回は更に驚いた。
前回がデザイナーらしく美しさや愛を描いていたのに対して、今回はもっと奥底に眠る荒らしい感情や心理描写が抜きん出ていて、その表現が巧みだ。
最初こそは内容がたとえ小説といえども、見るのが辛く、苦しい話だなぁと思っていたけど、ジェイクギレンホールの苦悩の演技が目を離せず、マイケルシャノンの眼光に緊張感が増し、物語はどんどん引き込まれていく…
面白い…そして配役が絶妙だ。
屑っぷりが見事な悪役がまさかの美男子テイラージョンソンでビックリだ。
話の構成が抜群に上手い、最後まで見ているこちらの心を不安にさせ引き込み、そしてあのラストだ
繊細でロマンチックで弱い彼が、愛する妻子のために奮闘する。
あの頃の愛した彼が小説の中で生き続けている。
愛され求められた偽物の自分がそこにいる、現実とは反して…
