ペイン

あの頃エッフェル塔の下でのペインのレビュー・感想・評価

あの頃エッフェル塔の下で(2015年製作の映画)
4.5
有名な『そして僕は恋をする』(※本作の前日譚的な?)も未見で挑んだアルノー・デプレシャン映画。

日本ではあまりレビュー評価は良くなく、その理由もよくわかるのだが、個人的には凄く緻密でウィットに富んでいると感じる好きな作品だった。

前半の硬質なスパイ映画のような手触りから、サラリと青春恋愛映画風味へと移行。本作に絶賛コメントを寄せている黒沢清監督は後に『スパイの妻』という作品を撮りますが、似ているとまでは言わぬまでも、なんとなくこういうことがやりたかったのかもなと頷ける瞬間もちらほら(デプレシャンのキャリアを意識しているような)。

ヒロインのエステルはたしかに端から見たらいくらモテ女とはいえ、色々と“不安定”過ぎるのは間違いないのだが、それ故の形容し難い魅力を放っているのも事実。主人公ポールとのやりとりや関係性も(終盤の切ない展開も含め)個人的には微笑ましく見れた。

終盤の“エステルは15人、ポールは7人”のナレーションには本当に笑います(笑) 
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