日本版のチラシや、タイトルの可愛らしさに騙されてはいけません。
「ハッピー」かどうかわからない、人生のエンディング。
誰もがいつかは必ず迎える死。
自分自身と、愛する人の、『その時』、どうするか。
正解のない問いを投げかけてくる作品です。
重くなりすぎないようにちりばめられたユーモアも
どこかシニカルで
でも、俳優陣の顔に刻まれたシワが美しい。
現代日本では死とそれにまつわる話題は、
なるべく日常生活から遠ざけられたものとなっていますが
人間の死亡率は、どんなに医学が発達しても100%。
ことに日本の平均寿命は世界でもほぼ常にトップです。
医学の進歩で寿命が長くなったがゆえの苦悩は深いと思います。
愛しているからこそ「生きていてくれさえすればいい」のか
「苦しませたくない」のか、
人それぞれだし、
自分自身の『死』と愛する人の『死』でも、答は違うと思います。
私自身は、ラストのレバーナのセリフに深く共感しました。
まだ、達観して、この映画をただ『鑑賞』するような境地には
残念ながら至っていません。
もうひとつ、温室での仲間たちの乾杯には胸を打たれました。
優しく厳しく、「さあ、あんたならどうするね?」と
眼光鋭い老人に問いかけられているような作品です。