ROUGE

ハッピーエンドの選び方のROUGEのレビュー・感想・評価

ハッピーエンドの選び方(2014年製作の映画)
3.8
日本版のチラシや、タイトルの可愛らしさに騙されてはいけません。

「ハッピー」かどうかわからない、人生のエンディング。
誰もがいつかは必ず迎える死。
自分自身と、愛する人の、『その時』、どうするか。
正解のない問いを投げかけてくる作品です。

重くなりすぎないようにちりばめられたユーモアも
どこかシニカルで
でも、俳優陣の顔に刻まれたシワが美しい。

現代日本では死とそれにまつわる話題は、
なるべく日常生活から遠ざけられたものとなっていますが
人間の死亡率は、どんなに医学が発達しても100%。
ことに日本の平均寿命は世界でもほぼ常にトップです。
医学の進歩で寿命が長くなったがゆえの苦悩は深いと思います。

愛しているからこそ「生きていてくれさえすればいい」のか
「苦しませたくない」のか、
人それぞれだし、
自分自身の『死』と愛する人の『死』でも、答は違うと思います。

私自身は、ラストのレバーナのセリフに深く共感しました。

まだ、達観して、この映画をただ『鑑賞』するような境地には
残念ながら至っていません。

もうひとつ、温室での仲間たちの乾杯には胸を打たれました。

優しく厳しく、「さあ、あんたならどうするね?」と
眼光鋭い老人に問いかけられているような作品です。
ROUGE

ROUGE