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20センチュリー・ウーマンのshinobuのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.5
マイク・ミルズ監督作は「サム・サッカー」しか観てない。
だけど90年代に青春時代を過ごした者にとっては、x-girlのロゴだの、ビースティ・ボーイズやソニック・ユースのジャケだの、エールのPVだのでその名は当然目にする訳で。

素晴らしい才能の持ち主なのは知っていたが、まさか映画作家としても素晴らしいとは!
すみません、今度「人生はビギナーズ」観ます。

物語はマイク・ミルズの自伝的内容と言ってもいいくらい、登場人物は自身と自身の姉や母親がモデルになっている。

大まかな内容は1979年のアメリカ・サンタバーバラを舞台に、15歳のジェイミーが母親のドロシア、パンクな写真家のアビー、幼なじみのジュリーの3人の女性と過ごしながら成長していくひと夏の物語を描く。

この映画は色んな側面から語られるが、フェミニズムが一つのテーマである。
劇中で何度となくセックスの話が出てくるがこれが重要。

セックスの話を通じて女性の事を知る啓蒙的な内容にもなっているので男女問わず10代の子達にも観てもらいたい。

他にも重要なとこで、人は痛いところを突かれると不機嫌になるってとこも面白かった。ここを掘り下げるとネタバレ過ぎるので割愛。

良かったとこを挙げるとキリがないが、やはり全編を彩るパンクやニューウェーブ等の音楽に触れない訳にはいかない。

1979年とはいえ、USはやっぱりマッチョイズムというか男根主義が大出を振って歩くとこなのか。

アートと密接な関わりのあるパンクシーンにも男根主義があるのな。

BLACK FLAG(ハードコアパンク)ファンはTalking Heads(アートパンク)ファンをアート被れのホモと決めつけ差別する。

15歳のジェイミーがは両者のバンドの多分ファンであるのだがこれがポイントで、マッチョな部分とアートな部分は多分誰しもがあるのではないかと思う。

2つの部分。

母親のドロシーは息子を手に負えないと、ジュリーやアビーに気にかけてやってとある種の放任主義を気取るのだが、やっぱり気になってしょうがない訳で。
母親のやってる事の矛盾と葛藤が面白くも切ない。

母親のドロシーは映画「カサブランカ」が好きで「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」が好きっていうぐらいパンク好き息子とはジェネレーションギャップがあるけど、息子ジェイミーの部屋に入ってパンクのレコードを聴くシーンが最高!

世代や価値観が違って分かり合えないかも知れないけど、努力し寄り添う事は出来る。

とにかく色んな側面から切り口がある映画で、あざとい泣かせシーンはないのだけどホロリとさせるシーンもあり凄くバランスのとれた作品だ。

個人的にはパンクやアート好きの写真家アビーがジェイミーにミックステープをプレゼントするシーンに何きゅんとした。

今のティーンエイジャーもお気に入りの曲をプレゼントしたりするのかな。聴けるリンク貼ってLINEで送ったりとかかな。

ボクはカセット、MD、CD-Rを好きな人達に渡したよ。
字が汚いからコメントは書かなかったけど、手書きでタイトル書いてね。貰うのも好きだったな。

しかし幼馴染みにあんな可愛い子いて、パンクやアートを教えてくれる歳上の女性にも好かれて羨ましいぞ 笑

ラストシーンに流れる音楽を聴きながら、少し遠くに住む母親の事をちょっとだけ思った。
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