NaitoMami

20センチュリー・ウーマンのNaitoMamiのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.8
「幸せかどうかなんて考えたら鬱になる」
「子どもをどんなに愛しても、しんどいことばかり」
「外の世界の息子を見られるあなたが羨ましい」
母親の言葉に共感しまくり。

本当はわかり合いたいのに、すれちがい、見当違いのことをしでかしたり、それで束の間わかり合えた気がしても、結局は真にわかり合うことはできないまま別れの時がくる。
母と息子のやるせない物語だった。
もどかしくて切ない、でもはかりしれない幸福と充足感。
私も高齢出産だったし、他人事じゃない想いで身につまされたなぁ。

20th century women と複数形になっている原題の通り、この世紀を生きる50代、30代、10代の3人の物語でもある。
3人ともそれぞれに心の痛みや不安を抱えていて、それなりにうまく順応しているように見えて不器用な生き難さも併せ持つ。

とくにエルファニングがよかったなぁ。
顔が半分隠れちゃうヘアスタイルとか、いきがったタバコの吸い方とか、細かいところまで「あの頃」の痛みや苛立ちや混乱をよく表している。
若さゆえの残酷さも。

親が教えられることなんて、子どもの人生からしてみたらほんの少しだろうし、子どもは子どもで「親の心 子知らず」なんだけど、それでも子どもは自分のことを親にもっと知ってほしいと思うし、気にかけてほしいと思うし、親と深いつながりを求めつづけるものなんだなと感じて、なんだか勇気がわいてきた。

切なさや悲しみと背中合わせに、不器用な愛に包まれた映画だった。
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