ひな子

20センチュリー・ウーマンのひな子のレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
5.0
心の底から、この世に映画があってよかったと思う。
自分はひとりじゃないと思えるし、時代を超えられるし、人間の素晴らしさを感じられる。

20センチュリーウーマンは、また出会ってしまった、人生の一本。
これから先何度も何度も、観て、今のことを思い返す。そう遠くないように思える死ぬまでの期間。

この映画で、1番グッときたのは、趣味思考が合うから、とか、この町に住みたいから、とかの意図的に集ったわけでない5人の共同性。
ごく偶然的に、見えない糸を辿ったらそこにいた、みたいに、自分を超えたところで繋がっていた。
彼らは、5人とも、5人のうちのだれかと2人組になれる。全員が、5人のうちのだれかと、同じ琴線で共感できる。目を見てダンスができる。
それがきっと共同体であるし、言葉を変えれば、いわゆる家族だと思う。

フェミニズムとか、知識でしかないと思うけど、学び続ける姿勢は大切。
何かに対してクソだと思うよりも、学んで言葉を身につけ、だれかと分かち合う準備をするの。

無理に、分かり合える人を探すのではなく、きっと隣に誰かがいる。
親子の物語なんていう、軽薄なストーリーではない。


2023.1.7
新年一発目はこの映画から。
初めてみた時より、年を少し重ねて、経験も積んだ。
そのことから、まずは、親子の物語は軽薄ではない。と過去の自分に向かって言いたい。この映画は、母と子の親子関係のストーリーであり、それは尊いものであるということ、いまなら理解できる。
そして、20世紀前半と後半の間で、明らかにフェミニズムが発展したことが分かる。前半の人たちには、それぞれの美徳があり、決してフェミニズムのことを理解していないわけではない。あからさまに言葉にし始めたのが後半の人たち。でもそのあからさまさ、強さのおかげで、21世紀を生きる私たち女が少しでも、表面的にでも、過去よりは生きやすくなっている。
大切なことはマイクミルズがいつも表現してくれている。これからも何本も撮って欲しい。
ひな子

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