ホリムベイ

レディ・バードのホリムベイのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0
映画を観た、という実感を与えてくれる映画が好きだ。だから映画を観ている。この映画も文字通り映画だった。

グレタ・ガーウィグ監督の作品を観たかった。「パービー」(未見)の最高に楽しそうな撮影風景に惹かれたからだ。その予感はやっぱり当たっていた。見終わったあと、映画を観た、という実感があった。

ストーリーは平凡な青春物語だ。この平凡は、普通と言っても王道と言っても良い。その普通の物語に力を吹き込んでいるのは、俳優であり、脚本であり、そしてやっぱり監督なのだと思う。「深淵は細部に宿たもう」というのは映画にとっても当てはまる。ディテールの妙が積み重なって映画を平凡から王道へと飛躍させる。

2017年の作品。そのディテールの一つ一つに対する眼差しが、今(2023年)、リニューアルしつつある現実と感覚(ある種の倫理観)に支えられているからこそ、そう感じるのだと思う。イタリアの作家・イタロ・カルヴィーノが愛した言葉を思い出した。

「民話は語り継がれる度に美しくなる」

子どもも親もその時々の青春を生きている。