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レディ・バードのenaのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.8
ポップ過ぎずシリアスすぎず絶妙な距離感で、思春期の繊細さと母娘の衝突を描いたグレタ・カーウィグの自伝的作品。
映画の面白い所は自分とは違う価値観を持った人が作ったキャラクターの生活を覗けることだと思ってるんだけど、この映画はこれ私か?と錯覚するくらい過去の自分を覗いてるように共感しまくりだった。

グレタ・カーウィグも自分の高校時代をベースにしてるけど実際はこんな良くはなかったと言ってるし、私もティムみたいなイケメンと付き合えることは無かったけど、レディバードが痛い痛くないの話ではなくて誰もが思ったことのある掴みどころのない理想と現実を彼女が体現してくれたように思う。

自分が何者かでありたくて、派手な格好をしてみたり、派手な人たちと付き合ってみては存在価値を確かめていた気恥ずかしい過去を消すことはできないけど、環境が変わってその価値の無意味さに気付いた時、何者でもない自分を受け入れ、成長したねと言ってくれるような映画だった。
そして成長出来たのは紛れもなく、距離が離れてても会話をしなくても母の存在が一番大きかったんだと思えた。
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