脚本家・演出家・演技トレーナー・映画評論者のナイトメアシンジです。
今日、ご紹介するのは「教祖誕生」です。
カルト宗教映画「教組誕生」は1993年11月20日公開。
原作はビートたけし。
宗教映画「教組誕生」のどこがカルト映画なのか?
お布施の強要、サクラを用いた信者を増やす為の布教活動、教団上層部の洗脳など振興宗教の有様を強烈に皮肉っている。
日本中を震撼させた地下鉄サリン事件が起きたのは1995年。
その2年前にこの映画は公開されています。
教団内における激しい確執。
教組が次第に自分の力を過信し始め、カルト化してゆく様は、その後のオウム事件を思わせます。
また、劇中には印象的な台詞はいくつか存在します。
司馬が次第に自覚を持ち、断食や滝行を行い教組として目覚めていく和夫に言います。
”2週間、断食して、教祖になれるんなら、山で遭難した人はみんな教組じゃねーか”
司馬はそう言って、断食を決行している和夫の前でおにぎりを食べるのです。
(現実家と理想家を見事に体現)
また、こんなシーンもあります。
無事、断食を終え、本堂から身体を駒村に支えられながら、やっとの思いで降りて来る和夫を見て、司馬が呉に向かってボソっと言います。
”教組になると、どうして、みんな、ああなっちまうのかな”
(この台詞がすべての宗教の本質なのかも)
和夫のやり遂げた感、敬虔な面持ちでそれを見つめる信者たち。
(今となっては、笑うことすら出来ない)
藤井尚之の音楽はそれなりに効果的です。
カメラ・ワーク、演出に特出した点は見受けられません。
(残念ながら、ありきたりという意味に捉えてもいいです)
安心して見れる日本カルト映画です。
(二度見る映画ではありません)
信じる者は救われる。
いや、必ずともそうではない。
この映画はそういうことを教えてはくれる。
ある意味、カルトでしょ。
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