掴みは抜群に良くて、ぐっと引き込まれる仕掛けがある。あとは、ただ正論が交わされて、いわゆる「ジャズトランペッター」もとい、まともな「人」になるべく立ち上がっていく様を描く。
人間どうもがいても、自分の範疇を超えて立ち上がれない時はあるだろうし、その上、そこからリスタートしなくてはいけない、という袋小路からの脱出は辛いし、それを描くこと自体もまた同様に本当に骨のいる作業だなぁ、と思う。
受験で大学に受かるとか、好きな人を振り向かせるとか、悪の枢軸を倒すとか、出来る出来ないは抜きにして、それらの解決への糸口は現実世界でも物語上でも、なんとなく見えるけど、こればっかしは、自分の身体を越えた問題だから苦しい。
現実社会でも答えが見つからない問題を映画で描こうとするのだから、ほんと偉大だと思う。
でも、だからか、映画としてはハネない。堅い。
