おいマイルスお前がBlueを語るなよ!真のBlueとはこういうことじゃい!という監督とイーサンとチェットの意思をビンビンに感じるBorn to Be Blueというタイトル。Kind of Blueことマイルス、ここでは敵役だ。
ブルーに生まれてブルーのまま死んだ。青さが彼の魅力だ。冒頭ライブでMCがジェームスディーンを引き合いに出していたが、その通り。チェットは彼よりたまたま、青いまま少し長生きしてしまった。凡百のジャズマンはどうしても黒っぽさをアピールしがち。彼は声や音に演歌的な人生の悲哀、コブシを利かせない、「ザ濃厚な俺のジャズ人生」にはならないのが素晴らしい。いや本人のなかではしてるのかも。しかし私はフラットで素朴な声や音色に感じそれがとても素晴らしく思える。
なんていうのかな、彼の生き方は破滅的ではあるんだけど、彼の声や音からは、そういう黒さがどこかでスッポリ抜け落ちて青さだけで輝いてる気がするんだよね。