<はじめてイーサン・ホークがカッコ悪いと思ってしまった。(ホメてます)>
なぜ、イーサン・ホークはオスカー俳優ではないのだろう?
どの作品を観ても、イーサン・ホークの演技力の高さは、誰もが認めるものだろう。でもオスカー俳優ではない。
ふと、レオナルド・ディカプリオがようやくオスカーを獲った一昨年のアカデミー賞を思い出した。レオは、その演技力の高さを認められながらも、一昨年、ようやく初めて最優秀主演男優賞を受賞した。
そう、『何を演じてもディカプリオ』。
そうささやかれるほど、役柄を自分のモノにしてしまう。よって、何を演じてもディカプリオになってしまうというデメリットがあったのだ。
考えてみれば、イーサン・ホークもそういう部分があるのではないだろうか?
マシュー・マコノヒーとかエディ・レッドメインみたいに、全く別人のキャラクターに变化してしまうのではなく、役を自分の中に吸収してしまう俳優。レオナルド・ディカプリオとイーサン・ホークに共通しているかもしれないと感じる。
しかし、この本作『ブルーに生まれついて』。
ドラッグ中毒におぼれ、暴行をうけ歯を失い、トランペットをふけなくなってしまう、チェット・ベイカーの落ちぶれた姿をイーサン・ホークが演じた作品である。
監督の長編デビュー作であろうか?よく存じあげない。
映像全体は、若干の軽さを感じるため、極めて普通なのだが、とにかくイーサン・ホークの演技が素晴らしい。
もう、その落ちぶれた姿のカッコ悪さといったらない。(ほめてます)
なのに、そこに漂う哀愁は、トランペットから奏でるチェット・ベイカーの音楽と同様、人びとの心をざわつかせる魅力がある。
劇中で2曲、イーサン・ホークが歌うシーンがあるが、これは名シーンとして語り継がれるレベルだと思う。瞳の裏側に焼き付いて、いつまでも心に残る映画シーンと賞されてもいいはず。
『ドローン・オブ・ウォー』でも、アルコホリックなやさぐれた軍人を好演していたが、あの作品もどこか、イーサン・ホークのカッコよさがチラチラ垣間見れてしまったが、本作のヤサグレ感はピカイチである。(ほめてます)
ちなみに、物語にはほとんど触れずにレビューしてしまいましたが、お話は普通でした。(笑)
『ビフォア・サンライズ』のイーサン・ホークも『ガタカ』のイーサン・ホークも『テープ』のイーサン・ホークも、それぞれ大好きなのだが、本作のイーサン・ホークは、また一つ、違うレベルに行ったような感じだった。
個人的には、どのイーサン・ホークも好きなのですが、実は『テープ』のイーサン・ホークが好きかも。地味でしょ?(笑)