ひしくい

ミモザの島に消えた母のひしくいのレビュー・感想・評価

ミモザの島に消えた母(2015年製作の映画)
4.0
想像していたより数段面白かった。

人間関係や距離感の描き方がとても好き。特に、
他人とだったら長く引きずりそうな言い争いや気まずい出来事が、長年一緒にいたことによってお互いその誤魔化し方や棚への上げ方をよく知っているせいで流れては、
でもやっぱりどこかでくすぶっていてぶり返される感じがすごくリアルだった。
そういう惰性を乗り越えた関係なのかどうかがちゃんと伝わってくる。

ある集団の中にいて、何かが自分から隠されてるとか、何かがおかしいとか、やっぱり感じ取れるものだと思うので、主人公の執着には違和感はおぼえなかった。

秘密やタブーに触れたり、あるいは自分が秘密やタブーになったりすると、自分が正しくても被害者でも、まるで諸悪の根源のように扱われるのは、本当にやるせない。
実際問題、自分が「諸悪の根源」になる前はその集団はそれなりによく機能していて、自分が排除されればまたそれなりによく機能するだろうことがわかるから。

原題の意味はもうちょっと考えたい……。
真実を明かしたものには真実が、秘密を隠すものには秘密が、相手から与えられるってことかな。
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