のこのこのこっち

夜行性情欲魔ののこのこのこっちのレビュー・感想・評価

夜行性情欲魔(1970年製作の映画)
4.4
北米版DVDにて再鑑賞。レンタルで借りられるメツガー作品は変名を含めて幾つかある。その中で『炎』と本作はポルノとは関係なく楽しめるレンタル屋で置き場を間違えてる作品。 逆にヘンリー・パリス名義の『マラスキーノ・チェリー』なんかは一気に性描写が露骨になる(低予算だがフレーミングが面白った記憶がある)。

劇中に「イタリア映画みたい〜」な台詞があるがロケ地がバルソラーノの古城であるだけでなく音楽担当がステルヴィオ・チプリアーニだ。彼生来のイタリアらしい甘いメロディに『血みどろの入江』辺りを思い浮かべさせる緊張感も備えている。ここからもイタリアらしさが生まれているように思う。

サバティーニによる図書室のセットが印象に残りやすいと思う。しかし居間であったり凝った撮影と美術はそれ以外のシーンでも十分伝わってくる。その上で構成上モノクロやラストの部分が編集で入り込むし入れ替わるから一般的には取っ付きにくい…。というか理解を深める(どうせわかんないならネタバレさせる)意味でラスト3分を先に観てから本編でもいい気がする。quartetというか、octetか?

さて、冒頭で触れた『炎』を作りが違っていたこと以外ほとんど忘れてはいるが、本作はそちらより手を伸ばしやすい理由も併記したい。本作と『炎』『Score』の3作のセット販売が存在する。その本作以外の2作は検閲で10〜15分くらいカットされている(単体なら別に存在するけど)。この内『炎』は日本でレンタルに出ているもの+15分。それに対して本作はそもそも日本で修整を加えるような箇所も現代ならないと言っていいのでカット自体していないと思う。