saki

ルームのsakiのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.2
非現実な設定なのに、この圧倒的なリアリティーはなんだろう。
主演のブリー・ラーソンと子役のジェイコブ・トレンブレイの凄さ。丁寧で誠実な脚本。
そして、特殊な舞台設定でありながら、描かれていたのは、支える愛があれば人は強くなれる、再生と希望の物語だということ。
そしてこの見慣れた、私たちのありふれた日常が、驚きと美しさに満ちた世界なんだということ。

息子が、彼にとってはかつて世界であり生まれ育ったホームである懐かしき「ルーム」に、ひとつひとつサヨナラを告げた時、
母にとって、ただ消し去りたい忌まわしいだけだった過去が別の何かにふっと昇華されたようなあのラストは秀逸。
逃げずに向き合って告げたサヨナラ…彼女の本当の意味での再生がきっとこれから始まる、そんな希望の光が美しかった。

何度も泣いて、見終わった後にチカラをもらえました。
主人公だけじゃない。眩しいほどの柔らかな子供の強さ、何があっても支えるばぁばやレオの強さ。ばぁばの「人はみんな支え合って強くなるの」が決して陳腐にならない映画です。
この素敵な作品のオンライン試写会、当選ありがとうございました。自分にとって今必要な映画でした。
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