キミシマユウキ

ルームのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.9
5歳になった男の子ジャックはママと「部屋」で二人仲良く暮らしていた。しかし誕生日を境にママから二人は監禁されているという事実を打ち明けられて…

カナダ・アイルランド製作のヒューマンドラマ。
主演のブリーラーソンが今年のアカデミー主演女優賞を受賞。
監督は『FRANK』のレニーアブラハムソン。
原作はエマドナヒューによる小説『部屋』
ドナヒューは脚本としても参加。
アプリでの評価と友人の感想がとても良かったので劇場鑑賞。


   [初めて”世界”に触れる子]
        と
   [再び”世界”に還ってきた母]

これは期待通りの感動ドラマだった。
「部屋」の中以外は何も知らないジャックと7年間監禁され続けている母。ジャックの純粋さ故時に苛立ち傷つきながらも共に生きていこうとする母の姿に同情しない観客はいないだろう。意外と早い段階で部屋から脱出し、そこから外の世界へと歩みだす二人の再生物語を主軸にしていくのだが、個人的には部屋脱出までのパートがピークであった。
今まで「部屋」の天井しか知らなったジャックが真っ青な大空を観た瞬間の表情…思わず鳥肌が立つ。
そして母との再会では柄にもなく涙がこぼれそうになった。
後半の再生パートももちろん緻密で
社会に馴染みきれず順応に時間のかかる母と、
子供ならではの吸収力でどんどんと成長していくジャック
の対比描く形となっていて面白い。
ジャックが何気なく祖母に掛ける

「おばあちゃん、愛してるよ」

の言葉で涙した観客も少なくないはずだ。
自分もそのうちの一人である。

主演のブリーラーソンは繊細な演技をやりきった。
7年間監禁されていたという難しい役柄ではあったが、見事にこなし主演女優賞を獲得。まだ未鑑賞だが演技派である『キャロル』のケイトブランシェットに勝ったという時点で凄いのだろう。今後注目していくべき女優だ。
そしてなによりジャック役のジェイコブトレンブレイ!!!
天使なのか!?女の子と見間違えるほどの可愛さと美しい顔立ち、そしてたどたどしいセリフ回しで視聴者を虜にしたことは間違いない。アカデミー賞こそ絡んでいないが、カナダの映画賞では主演男優賞をこの歳で獲得するほど観客に訴えるものがあった。
言ってしまえば、彼なしではこの映画は成り立たなかっただろう。
あとは『ファーゴ』のウィリアムHメイシーなどが堅実に脇を固めていた。

母と子の絆に感動し、涙するヒューマンドラマ。
どのレビューサイトでも高評価なのも納得の傑作であった。
ただ、個人的に少し不満点があったので
-0.1点
だけさせてもらおう(ネタバレにて)

「バイバイ、[部屋]のみんな」

感動ドラマ好き、アカデミー主演女優賞が観たい方、そして驚くほど可愛らしい子役を発掘したい方にはオススメの作品。