さよなら三千回

ルームのさよなら三千回のレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
5.0
卵の殻の中で外の世界の声を聞きながら、生きていた少年が殻を破って本当に生きるまでを描く。同時に母という生き物の強さと脆さもテーマだ。
初めての外の世界に出たジャックの姿は生まれ落ちた胎児のようです。懸命に足掻く姿に『生きるとはなにか、行動することである』という言葉が染み渡ります。
母と子の関係は監禁されている状況下でどろどろと結びつき解放後には暗転しますが、子供はその純粋な適応力で見事に現実に打ち勝って生きていく。透き通る瞳はちゃんと未来を見ていました。絶望のその後とは何か、人間の本当の強さを教えてくれる映画です