ギャス

ルームのギャスのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.4
サバイバーの苦悩という映画は今までも見てきたが、
外界をママを通したテレビでしか知らない5歳の男の子のサバイバーの見る世界、
そしてその子を抱えて外界に出てきた若い母親としてのその後の世界、
がとても真摯に描かれた映画だった。

シンプルだった世界が急に情報過多になるところはこちらも不安になった。でもその情報はまだ彼に意味をなさない。狭いという感覚を持たなかった男の子にとって、外界は広くて自由というより、そのままま世界であったママがそばにいないことの多い、希薄でだだっ広い空間。

そして観ているこちらにとってあまりに予想外に、母親にとっても厳しく不安な世界だった。彼女もまだ子どもだったのだ。

犬が外界への第一歩となったのは、とても象徴的だった気がする。言語は持たないが、大丈夫な世界への新たな通訳になってくれたというか。

「大丈夫」最後に2人で歩くシーンに救われる思いだった。
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