notitle

ガールズ&パンツァー 劇場版のnotitleのレビュー・感想・評価

3.0
近年増えてきた素晴らしい映画がそうであるように、映画とはアクションで語るものである。

このガールズ&パンツァー、テレビシリーズを一切見ていない身からしても、戦車戦のアクションには目を瞠るものがある。音響も劇場ならではの迫力があり、3DCGを用いたアニメーション表現の中に「日本でもこれほどのことができるのか」と可能性を感じた。

しかしながら。

映画がアクションを通して何を語るのかと言えば、ドラマを語るのである。
日本映画の父 牧野省三は、映画にとって大切なのは「スジ(脚本) ヌケ(技術) 動作(アクション)」であると言った。
そして、彼はアクション以上にスジが大切であることを日本映画の原初から常に提唱していたのである。

この劇場版ガールズ&パンツァーが描きたいドラマとは何だろうか? それを考え出すと、到達する答えは「無」である。

一切衝突しない人間関係。
乗り越えるべき精神的試練の欠如。
そこにアクションが生じたとしても、それは決してドラマになり得ない。

近年の「アクションで語る映画」は、ドラマが無いように見えてあくまで余分な部分を削ぎ落としてシンプル化しているだけであり、その根底にはやはり綿密に練られたドラマが存在するのである。

本作について言えば、「ドラマ性を削ぎ落としてアクションで魅せる」とはこういうこととは違うのではないだろうか?

門外漢のたわごとである。
notitle

notitle