とうがらし

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のとうがらしのレビュー・感想・評価

4.3
あらすじだけを見て、右とか左とか赤とか思ったら時期尚早。
まずは見てほしい。

辛く暗い時代、そうせざるを得なかった脚本家の自伝。
でも、単なる自伝としてではなく人間ドラマとして面白かった。
自分の名を売りたがる人は多かれど、自分の名を表に出せない苦しみに耐え忍ぶ人はそうそういない。

人は、誰か敵を作ることで自分を正当化させる。
時代は違えど、現在でも、人々の心の中にこういう見えないリストが、存在するのではないだろうか。

でも、苦難を乗り越えるのは、反論ではない。
彼の生き方を通して学んだ。
SNSで簡単に反論できる世界になったから尚更。
相手を黙らせるには、物言わせない仕事の質、それを持続する事だけ。

名脚本家の自伝映画ではあるが、この映画自体が映画愛にあふれる、すばらしい脚本だった。
暗く辛い日々でも、そう描かないところに、この映画のすごさがある。
まあでも、若い人が見るには、ちょっと難しく地味な映画かな。
自分が苦境に立っている最中に見れば、また違った見え方があって、勇気も湧くかも。
この邦題の副題はちょっとないね・・・その補足はいらなかった(笑)
とうがらし

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