きぬきぬ

若き詩人のきぬきぬのレビュー・感想・評価

若き詩人(2014年製作の映画)
3.8
詩人を志す少年(18歳のレミ・タファネル)が訪れた海辺の町。
監督本人に技巧的なライティングを入れてないことを確認したけれど、その光を捉える時間を待ち、自然光で撮られた映像と切り取られた構図がどの場面も本当に詩的にとても美しい!!それだけでも必見。音楽を使わず、自然の音だけなのも良い。
詩人を志す少年は詩作のインスピレーションを掴もうとポール・バレリーの墓に語り掛け、町を彷徨い、恋もする。
それ全部、詩作に繋がるよねっと思うけど、‘蛸’の詩からして詩人に向いてない感じもとても良い。(笑)
レミ・タファネルという俳優にあるユーモアというか、彼の持つ独特のゆるい空気と何をしようとしているのか読めない雰囲気、それもとても良い。

少年の若さの衝動と、迷いが噴き出してからの対話は、まるで詩人とではなく、監督との対話(インタビュー)でもあるような、脚本に沿ってというよりもアドリブ的に撮影されていったこの作品の、迷いある18歳の少年そのまんまな自然な心の言葉がとても素晴らしい!
あの場面、墓の詩人との対話というより、監督との対話でしょう?って訊いたら、まさしくそうっ!って言われました!あのラストが本当に好き!


観るまではヌーベル・ヌーベル・バーグと言われている今、新進のフランス映画監督に属するのかなあとも思っていたけれど、確かにその辺りに近い感じはするし、トリュフォーのアントワーヌ・ドワネルとも評されているのわかるけれど、違う。
それよりももっと自然体で等身大。それはとても大切でとても魅力的で新鮮!
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