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ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来るのcoyumiのレビュー・感想・評価

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オーケストラの世界ツアーを追うドキュメンタリー。と聞くと、追うのはオーケストラ内のメンバーの演奏のすごさや、ハプニング?と思ったら大間違い。
この映画の主役は、[芸術+人=感動]の出来上がり方だった。

まず初めに登場するのは、長い演奏の中でただ一回のシンバルを鳴らすパーカッションのメンバー。そのただ一回のために彼はそこにいる。だれもいないステージで叩くまでの様子を語りはじめ、そこに実際の演奏が重なってくる。

この映画が素敵なのは、こういう物語がメンバーだけではなくて、演奏を聞く側の人達にもあるのを示してくれるところだった。
ワールドツアー中に出会う、様々な国の様々な状況で生きているひとたちの個人的なストーリーとオーケストラの音楽の出会いや重なり。

音楽に限らず、感動というのは実はとても個人的なものだと思う。
日々感じていることや思い出によって心動かされるモノゴトも変わる。普段わたしたちは、「なぜ自分がその"ある特定のモノ"に惹かれるのか」についてそう語り合うことはない。でも、自分にもその理由がある。あの人にもその理由がある。と思うと、なんだかとても面白く感じられるんじゃないかなと思った。
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