みき

帰ってきたヒトラーのみきのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.7
ぼんやりした知識しかないまま原作を読んで、最後の一文に衝撃をうけた側の人間として、
映画らしく山あり谷ありにおもしろくまとめられていたと思う。
本で読んだ時とまた違うかんじにゾッとしたのは、ドキュメンタリーっぽい演出(?)で、本当に現代に彼が帰ってきたみたいに見えたところ。日本で、本当のドイツのニュースが流れているのを見ているのと同じような気分がした。

本ではもっと彼の思考回路が詳細に語られ、それが案外まろやかなので、受け入れやすいという印象を持ち、それが恐ろしくもあり、
ただその恐ろしいという気持ちも、最後の一文で、あ、わたしは知識がないからわからないけど、そうなのかもしれない…って思っちゃう、それがもう入れ子構造的に恐怖なんだけど、でもそのきもちわるさが爽快、みたいな。

個人的にはやっぱり先に触れた原作の方のキャラクターたちに愛着があるから、みんなたちにも原作を読んでほしいけど、映画は映画でおもしろさがあった。

見る直前に入ったコンビニの店員さんが外国人の方で、さらに映画館のチケット係も外国人の方で、日本も多国籍になってきてるんだよなァなんて考えてたり、
昔から日本語が好きだったり、
母国へのこういうきもちがある限り、わたしたちの彼への抵抗にも限りがあるんじゃないか、みんな根底には似てる価値観が隠れてるんじゃないか、そんなふうなことも考えて、ひとと話すきっかけになる、そういう作品とおもいます。
みき

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