寺基千里

帰ってきたヒトラーの寺基千里のレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.5
映画を観終えて、コメディ映画か政治のドキュメンタリー映画のどちらとして評価すれば良いか迷った。
ヒトラーが現代に生き返り、インターネットやSNS、テレビ番組などの現代のコンテンツに触れて戸惑ったり、使いこなしていく様子やヒトラーを芸人のモノマネとして勘違いし、「ネタ」として扱う大衆の姿からコメディだと思って中盤は結構笑いながら観ていた。
だが、過去の人間とは言えど、現代のコンテンツを少しずつ使いこなして、国民一人ひとりに今困っている事を問いかけ、国民の懐に入り込んでいくシーンは凄いと感じた反面で、気がついたらヒトラーに取り込まれているのではという恐ろしさも感じた。また終盤になるにつれて「これって本当に笑っていていいやつなのか?」という考えが自分の中に生まれ、ヒトラーが復活してお笑いで済むうちは良いが、何も考えずに笑っているうちにかつてのナチスのような政策が気がついたら進行していたと考えると思わずゾッとしてしまった。
内容としては面白いが、正直「ネタ」として扱ってよい題材かと考えると評価に困る映画だった。
個人的な反省点としては、ヒトラーに関する知識とドイツの政治状況が疎く、たまに話についていけない所があった。この映画を機にもう一度ヒトラーを含めた当時の政治状況、現在の世界情勢も勉強しなきゃいけないな。
寺基千里

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