豚

無限の住人の豚のレビュー・感想・評価

無限の住人(2017年製作の映画)
2.8
不死の体となった剣士・万次と、両親の仇である逸刀流への復讐を願う少女・凛との絆を描いたファンタジー時代劇。
漫画原作、監督三池、主演キムタクと満貫に近い構成で何かと話題に。

ざっくり言えば"思ったよりちゃんとしていた"につきるかなと。
三池作品といえば昨年観た「テラフォーマーズ」が散々だっただけにちょっと不安だったけれど、こちらは大いに原作をリスペクトしつつ、物語の主軸を万次に据えたことで分かりやすく、かつ迫力ある展開になっていた。
ただ、原作においては上の下くらいの実力の万次が、木村拓哉に演じさせることで乙橘槇絵並みに強化されていたのはさすがに苦笑。
これは恐らく、木村拓哉独立第一作という非常に重要な立ち位置の作品であるため、主人公を万次に、かつ強く描かざるを得なかったのだろうなぁと感じる。

原作は連載期間20年と非常に長い&濃密な物語であるので、さすがに映画でその尺を割くことはできず、原作ファンからすると結構なダイジェスト感満載に感じる。
ひとつひとつのエピソードが原作をかなりリスペクトして作られているので、映画の内容を非難しづらいのだけれど、いくつか戦いは正直削っても良かったんじゃないかなと思った。
元々原作が剣士同士の戦いよりも、各キャラクターたちの生い立ちや背景、生き方といったヒューマンドラマ性が高い内容なので、映画のようにバトル中心だとあまりキャラ立ちが出来ておらず、その辺りは若干中途半端。
無骸流も尸良以外は顔見せ程度の出演しかなく、いっそ無骸流もいらなかったのでは、と思ったけれど、栗山千明の百琳が最高だったのでまぁ良し。

全体的に殺陣のシーンは多くそこはかなり迫力がありますが、最初から最後までただ斬り合うだけのシーンが多く、後半はやや飽きてしまいました。
漫画原作としては無難な内容として評価できますので、あとは木村拓哉をどう受け取るかどうかな気がします。
個人的には確かに木村拓哉感ありつつも、これまでの木村拓哉像からの脱却を端々に感じ、言うほど悪くなかったです。
というかこの万次もありっちゃありかも?
ただ凛がこうるさすぎてしんどかったです。

141分とちょっと長いのも玉に瑕。
さて三池監督、いよいよ次は2017年最大の地雷とも囁かれているジョジョですね……。
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