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ひと夏のファンタジアのkurageのネタバレレビュー・内容・結末

ひと夏のファンタジア(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

奈良県五條市をロケハンしながら内容をつくり、撮影した映画。
第一章はソウルから来た映画監督と通訳、役所の観光課の職員のロケハンの様子。第二章はソウルから旅行で五條にきた女性と柿農家のナンパからの小さな恋物語。ロケハンした場所が随所に登場する。

ノンフィクション的な一章とフィクションの二章の二つを合わせたことで観る側が訪れたことのない場所の記憶が立ち上がってくる、不思議な映画体験だった。特に、二章の喫茶店のシーンは、一章でインタビューした人たちの息遣いが感じられ、映っていなくても場所にはちゃんと誰かの過ごした時間が続いている。

二章の主人公ヘジョン役は『はちどり』の先生、キム・セビョク。日本語の話し方が可愛い。うん、とゆっくりうなづくところ、考えてからワンテンポ遅れて返事をするところ。会話のリズムのずれが耳にとても心地よく。

柿農家のユウスケはややしつこいけど、もう2度と彼女に会えないかもしれない必死さが前面に出ていて好感が持てた。へジョンのお風呂での複雑な表情もいい。同じ打ち上げ花火を見て、何を思ったかな。

もう2度と会わない(であろう)二人のひと夏の記憶。人生の道のりの最中にあるひとつの交差点を描いた良作。
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