このレビューはネタバレを含みます
映画がはじまってすぐに「あぁグザヴィエ・ドランの映画だな」てわかる映像、伝わる空気感。
音楽の使い方とか。
オープニングのアデルの曲がとてもいいな、と映画の世界に引き込まれる。
歌詞も分かればもっと伝わってくるものがあるんだろうなぁ…と毎度ドラン作品を観ると悔しくなってしまう。
冒頭の母親の指についていた緑色のインクの演出は、最後にグッときます。
あなたはあなたのままでいればいい。
そう言ってくれる存在がいるありがたさ。
母親との関係はどうあれ自分を産んでくれた母という存在の偉大さ。
だけど、自分のままで生きることはしばしば難しい。
『物事は単純だ。それに対し、人間は不可解なことばかり。物事を複雑にする。』
『奪えるわけがない。君のためだけに用意された場所だから。』
伝えたいメッセージがわかりやすく、暗く苦しい話かと思いきや、鑑賞後の静かに吹き抜ける風のさわやかさよ。