南

ハンガー・ゲームの南のレビュー・感想・評価

ハンガー・ゲーム(2012年製作の映画)
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「権力者の都合で理不尽な殺し合いやサバイバルを強いられる若者たち」系ドラマです。

バトロワ、CUBE、SAW、メイズランナー、などの系譜。

緊張感こそ全てな設定に関わらず、脚本、編集、カメラワーク、人物描写、全てが緩慢で終始ダレっぱなし。

これはダメだ。

まず作り手が「話の力点はどこか」を定めきれてないため、見せる必要のないシーンが多すぎる。

サバイバル?
恋愛?
人物の成長?
権威との対立?

何から何まで中途半端。

60分ほど削ってほしい。

編集の面では、例えば主人公たちが沢山の猛犬に襲われるシーン。

・運営「次はイヌを放つぞ」 → けしかける

じゃなくて

・突然イヌに襲われる → 実は運営がけしかけていた

という順序にした方が面白い。

それから体制側やライバル達がそこまで憎たらしく見えないため、主人公のヒロイックさが際立たない。

そもそも主人公が過去のトラウマや精神的な未熟さなどの「乗り越えるべき壁」を持っておらず、

ストーリーの初めと終わりにかけて人格的に何ら変化しないため全く感情移入できないのだ。

冒頭で自己犠牲、ラストでも自己犠牲。

ただのええ奴やん!

冒頭では自分勝手で孤独な人間だったのが、

サバイバルを経て他者を思いやる一人前の人間に成長、

とか王道を進んでコテコテなエンタメとして成立させればいいのに。

あとは例えば「父親から嫌なことを無理強いさせられる日常」などのミクロな問題(主人公の個人的な環境)を提示して、それを

マクロな問題(政府から無理やりハンガーゲームをさせられる若者たち)と紐付けるとか。

ただ、たまにこういう駄作を観ることで、良い映画の良さが改めて分かるというメリットはある。


つまらなかったとはいえ、フィリップ・シーモア・ホフマンが出るそうだから続編も観ます。
南