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鼓動を高鳴らせのロアーのレビュー・感想・評価

鼓動を高鳴らせ(2015年製作の映画)
3.8
大富豪のメヘラ夫妻は結婚30周年記念として、トルコ、ギリシャを巡る豪華クルーズ船の旅に親族や知人たちを招待する。
しかし夫婦の仲はすでに破綻しており、夫・カマルが経営する会社も倒産の危機にあった。息子の縁談を会社存続の取引材料にしようと計画するカマルの思惑を知らず、自分は会社経営に向いていないと悩む息子・カビールはナイトクラブのダンサー・ファラに一目ぼれしてしまう。
一方、自ら会社を立ち上げた優秀な娘・アイシャは、夫との愛のない結婚に悩んでいた。そんな折、かつての恋人であるサニーがギリシャからクルーズ旅行に合流することとなり・・・

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「人生は二度とない」の全国上映に向けて気分を高めるために鑑賞しました。ゾーヤー・アクタル監督の映画ってホント雰囲気が素敵。そしてやっぱり旅とインド映画の相性が良過ぎる。

前半は弟カビール、後半は姉アイシャの恋愛模様がメインで、そこに不仲な両親のチリチリ感や別の若者たちのロミジュリ的恋愛模様が添えられて展開していくので一見すると群像劇のラブロマンス映画なんだけど、あの終わり方からしても、本当のテーマは《家族》というストーリーが絶妙でした。

女だから会社を継ぐことができない。
男だから会社を継がなかればならない。

本人たちの能力や意思を無視して、性別だけで仕事や恋愛・結婚を親に押し付けられてしまう不自由さ。

それぞれ息苦しさを感じつつも、ベッドでゴロゴロしながら一緒にアイスを食べてるような姉弟の仲の良さもすごく良かったです。家族の中でお互い唯一の理解者同士なんだよね。
監督の弟であるファルハーンもサニー役として出演しているし、よく一緒に組んで映画を作っているのでアクタル姉弟もきっと仲良しなんだろうな。

犬目線で語られているので、時折シンプルに真理をついてくる台詞も印象的だったし、結構な人数が出てくるにも関わらず脇役の人物それぞれにも悩みがあると感じ取れるような人物描写も秀逸でした。言葉にならないありがとうをハグを伝えるシーンはどれも胸にじ〜んときました。

ラストの歌も、そのまま「ヘアスプレー」の1曲として混ざっていても違和感ないようなポップさですごく好き。船のセットも衣装もかわいい。
つい最近、今更ながらファルハーンが歌手としても活躍していたことを知ったんですけど、案外低くてハスキーな声が素敵でやっぱりお歌が上手い。「人生は二度とない」でも、最推しを贔屓したい気持ちはあれど、でも3人のうち1番お歌が上手いのはファルハーンだよねって思ってました。

ところでキャスト陣にアーミル・カーンの名前があって、どこに出てくるんだろう?と思っているうちに映画が終わってたんですけど、一番最初から出ていたというオチでした。アーミル、犬だった。犬の声だった。
この映画、全編通して犬の語りで描かれているので最初から最後までアーミルのターンだったのに全然気づかなかった。私、まだまだ声だけで分かるほどアーミルのことを知らないので今後精進致します。

MEMO---
・プリヤンカーが美人すぎてエロジジイみたいにジロジロ見ちゃった。足長くてウエスト細くてなのにお胸大きくて肌ツヤツヤで唇ぷっくりで目が大きくて髪もゴージャスで・・・これがミス・ワールドの威力か。
・ちょうどこの前に「パドマーワト」の感想を書いていたので、ランヴール・シンの別人っぷりに改めて驚愕。「パドマーワト」のアラーウッディーン役に本当に魂を捧げたんだな・・・
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