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あやしい彼女の328のレビュー・感想・評価

あやしい彼女(2016年製作の映画)
1.9
中国、タイなどでもリメイクされている韓国映画の日本リメイク版。リメイクが相次ぐだけあって、普遍的なテーマと話の筋はしっかりしています。
そして主演の多部未華子は相変わらず可愛いですね。「ピースオブケイク」でも思いましたが、笑顔よりも不満、不審、不安といった「不」のつく表情が似合います。そして歌もうまい。

観賞後に韓国オリジナル版を見ましたが、話の展開はかなり忠実に踏襲されています。文化などの違いによる細かな設定変更がありますが、大きな変化は「主人公の子どもが息子から娘に変更」「孫が2人(姉と弟)から1人に変更」でしょうか。

この設定の違い、特に前者が、主人公が二十歳ごろの身体に若返るという物語のテーマとなる展開の意味を少し変えているように感じました。
オリジナル版の主人公はかなり性格がキツく、はっきりと嫌な奴として表現されています。家族や周囲の人たちから厄介者扱いされ、さらにこれまでの人生を否定されるような出来事によって自己嫌悪に陥る。そんな時に突如若返り、もう一度人生をやり直すチャンスを得ます。この自己否定による長い人生に対する後悔が、ラストの「何度でも同じ人生を選びたい」という特大の自己肯定に繋がって感動的なメッセージとして届きます。
リメイク版は嫌な奴演出がやや抑えられ、若返りは人生のやり直しというよりも身体的なピークを再び手に入れるという意味合いが強まっています。さらに娘との関係性では、互いの母親としての生き方、スタンスを比較させています。結果的に若返ってからの行動は娘への反抗のように受け取れてしまう。オリジナル版と同じラストを迎えますが、そこに存在する娘との仲直り要素が「人生の肯定」にノイズをきたしています。

途中のフェス(?)演出や唐突に差し込まれるアウトドアデートなどの画面の貧弱さというかショボさは俳優陣が良いだけに残念でした。多部未華子は歌は良いけど、歌唱中の動き(振り付け?)は違和感があり、これも残念。

ということで多部未華子を楽しむための作品でした。
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